都立高校の入試
東京都立高等学校(以下、都立高校)は、現在、エンカレッジを入れて62校ある。私立高校が特色化を全面に打ち出して人員を確保してきた裏には、ある面で経営的に有利な条件で公教育を行える環境が整った公立への、資本主義的な競争原理があった。これに対して、都立高校をはじめとした公立高校は、教育の質と量という面では、明らかに私学に及ばなくても、安穏としていられた。しかしながら、先進諸国における日本の教育の地位の低さが露呈するにあたり、また、大学教育現場や社会人としての良識という面における、若者の知見の低さが顕著になるにあたって、公立高校の抜本的な改革が必要とされるに至る。都立高校も、その流れの中で、数多くの改革を内外で行ってきているが、今年度の都立高校の入試形態の変化をみながら、一覧素描してみたい。
現在10の地区に分かれる都立高校における今回の入試形態の変更点においては、まず推薦入試にまつわる変更が目立った。分けても顕著だったのは、従来の評定による評価から観点別評価への移行である(大崎・千歳丘・八王子東・南平・片倉)。また、男女枠緩和制を復活または導入する学校が増えた(板橋・鷲宮・足立西・北多摩)一方で、廃止した学校も散見された(井草・光丘・葛飾野)。また、スポーツ文化推薦を導入する学校は39校に上った。推薦枠自体を広くした学校、逆に狭くした学校も数校あった。
今回の都立高校の推薦入試の変更点においては、成績基準を単なる評定から、正確に生徒の学力を診断したいということから観点別評価に変更する学校がある反面で、平準化された能力よりも、一芸に秀でた者を広く採用しようとする学校が増えた(スポーツ文化推薦の導入校の増加)。ここからいえることは、高校内部の改革もさることながら、改革内容を利用する主体である生徒自体の取捨選択に対する高校側の試行錯誤が垣間見えるということである。これは、改革の過程で、制度を前の状態に戻す学校も、新制度導入校以上に多くなっていることからもわかる。都立高校全体の制度改革が佳境に入ってきた証左であろう。
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